2008年10月17日金曜日

千利休(著者:童門冬二)を読みました。

千利休の生き様を描いた小説です。
ただ、もっと物語風なのかと思って読み始めましたが、歴史と照らし合わせて話が書かれているために、話に引き込まれていくという小説ではないです。
1500年代半ばに生き、利休の茶の弟子だった織田信長や豊臣秀吉が出てきます。
信長と秀吉の性格の差といいますか、器の違いがよく感じられました。
「にじり口」という茶室の客の出入り口があるのですが、そのにじり口についての2人の捉え方が全然違い、おもしろく感じました。
にじり口というのは高さが低く作られており、どんな人でもかがんで入らなければなりません。利休の意図したところは
「天下人でも一旦にじり口をくぐった後は、すべて平等な人間になる」
という事です。
信長はこれを聞き、
「なかなか考えたな」と
上機嫌になったそうです。

一方の秀吉は信長に付いていた頃は素直ににじり口から入り、茶を楽しんでいたそうですが、自分が明智光秀を倒し、天下人になった途端に、
「今後、俺はにじり口からは入らぬ」
といったそうです。
ずっと苦労して、長年夢見た天下人になったので、茶をするごとににじり口から入り、いちいち一般市民に成り下がるのが許せなかったのでしょう。

個人的には信長が好きです。男らしく、頭が冴え、民衆の事を思う人のようです。
また機会があれば織田信長の本を読んでみたいと思いました。

→小説 千利休(アマゾン)

0 件のコメント: